道端の物言わぬ、誰もが見過ごす日蔭の小石。「こんな小石たちと出会った瞬間、かれらの囁きが聞こえてきた。」のが線刻石との対話を始めたきっかけであると熱い思いを語られた。
弥生・縄文時代のひとびとが、硬い石の表面に線を刻み、絵文字を刻みあげる姿を思い描きながら、彼らは何を敬い、何を願いっていたのか文献を訊ね、線刻が語る真実に少しでも歩み寄ることに強いロマンを感じながらいつのまにか線刻石の虜になってしまったようである。
石に刻まれたマルの廻りに個の花びらは日輪を表わしており、太陽信仰と深く結びついている。また、母子ともに無事な出産を願ったり、毎日が平穏であることを願ったりした、「願掛け石」と呼ばれるものもあるそうだ。
線刻石と心を通わし、古代の人々と会話する楽しみを語る氏の眼差しは、まるで少年のように輝いていた。
(レポーター 西 義生)
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