新しい日常〈その30〉自粛時代の新しい趣味、読書のお勧め(会員編)

投稿者:宇都宮市下岡本町 太田 耕二

一昨年の12月、中国・武漢で最初に報告された”新コロナ”、今や世界中に拡散し猖獗の極み。ようやくワクチンは開発されたものの、未だ有効な治療薬が無く、防御の基本はマスクや外出といったアナログ対応。また、仮に治療薬が開発されたとしても、このコロナの感染力は強力で、今までの”開かれた社会生活”を維持することは不可能、と言われています。コロナ禍で幕開けしたこのパンデミック後の新世界。私たちも今、現実にこの”新しい日常の過ごし方”として”行動自粛の生活”を強いられているわけです。

そこで、この”自粛時代の新生活”にお勧めしたい工夫の一つが、標題の”読書”です。

ちなみに、自分事ですが、私の趣味は”ゴルフと読書とネットサーフィン”。新しい日常では、外出行動で週一ゴルフ、自粛生活では読書(経費節約で専ら図書館利用を主体に、月7~8冊)とネットサーフィン、を生活サイクルにしています。

ところで、今まで環境的に読書の習慣を持たない方が、いきなり”趣味として読書を”と言われても、取っつきにくいと思います。活字の長い羅列を見ただけで、頭痛がするというお方もおられるかと・・・。と言うことで、お勧めしたいのが、読む本を”長さ”で選択する切り口から入る読書方法です。

小説を大雑把に長さで区分すると、長編/中編/短編に分けられますが、更に短い”ショートショート(掌編小説)”と言われるジャンルがあります。長くても、文庫本の5~6ページで一話完結。しかも落語のように”落ち”のついた文章構成のものが大半。ものの4~5分もあれば読み切れ、最後の落ちもエスプリの効いたものが多く、読んで楽しむ”辛口落語”の掌編です。

さてこのショートショートですが、まず入門書として、ショートショート分野の第一人者である「星 新一」の作品集を推奨したいと思います。

星 新一。すでにご承知の方もおられると思いますが、生まれは1926年(大正15年)で没年が1997年(平成9年)の人物(ちなみに、森鴎外は母方の大伯父)。経歴も異色で、26歳で父の創業した”星製薬(この製薬会社、今も東京/五反田に本社があり、存続しています)”の社長を5年ほど勤め、リタイヤ後32歳でのデビュー。遅咲きながら、”ショートショートの神様”と言われた作家です。また、文壇での立ち位置は、「日本沈没」の小松左京や「時をかける少女」の筒井康隆と共に、[SF御三家」と呼ばれた人です。

推奨作品集ですが、まず最初に「ボッコちゃん」(新潮文庫)を読んでみて下さい。私が最初に読んだ彼の作品で、中でも「おーい でてこーい」と題する短編は、今でもあらすじが記憶に残る、寓意に満ちた作品の一つです。星は、千篇以上の短編を残していますので、読み漁っても余りあると思いますので、是非ご一読を。

ご参考までに彼の初期著作、発売日順に五編ほど下記に並べてみました。”在庫は図書館にあり”です。だまされたと思って、腰を据え、じっくりと攻めてみて下さい。ホントに面白いですよ‼。<左から:「ぼっこちゃん」(新潮文庫)/「きまぐれロボット」(角川文庫)/「未来いそっぷ」(新潮文庫)/「ようこそ地球さん」(新潮文庫)/「悪魔のいる天国」(新潮文庫)

星新一の初期著作

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

文字拡大

PAGE TOP