会員だより『中山道を歩く』

会員だより

『 中山道を歩く 』

◆はじめに

 2014年6月、草津市の草津宿本陣跡近くにある東海道と中山道の分岐点を起点に歩き始めた。加納宿(岐阜市)で一泊した以外は1年半掛けて 伏見宿(岐阜県可児郡御嵩町、名鉄広見線明智駅近く)まで日帰り歩きを繰り返した。伏見宿と中津宿間の細久手宿(岐阜県瑞浪市)にある、大黒屋という有名な宿の予約が取れず、3年余り足止めを食ったため2019年4月に5年目にしてやっと中津川宿に到達した。今回は、この伏見宿~中津川宿の歩きを紹介したいと思う。

伏見宿~御嶽(みたけ)宿

 約5キロ。伏見宿は旧中山道が国道21号線になっているので街道の雰囲気はない。旅籠(松屋)跡と隣接する旧郵便局内の『中山道ゆったり伏見宿』ボランティアの皆さんの明るい笑顔が印象的だった。

 ◆御嶽(みたけ)宿~細久手(ほそくて)宿

 約12キロ。御嶽宿は名鉄広見線終点(御嵩駅:これも「みたけ」と読む)近くにあり、蟹薬師と呼ばれる願興寺(2019年4月現在工事中)と本陣跡がある。「中山道は山の中」として妻籠・馬籠宿が有名だが、御嶽宿から細久手宿の間も山中を抜ける峠道で、街道の雰囲気が味わえる。御嶽宿から国道21号線に出て暫く歩き、『和泉式部墓』付近から徐々に山中に入っていく。荷を背に乗せて上る牛の鼻が地面に擦れて欠けるほどに急であることから『牛の鼻欠け坂』、唄を歌いながらでも登らないと息苦しさを紛らわせないほど急なので『謡坂(うとうざか)』と呼ばれた坂が続くが、旧中山道の風情が濃く残っている。幕末に皇女和宮が14代将軍・徳川家茂公に輿入れするときに休憩した御殿が建てられた場所(物見峠・御殿場跡)もある。和宮の行列は美濃太田宿を早朝に発ち、その日の内に大湫(おおくて)宿まで行って宿泊したそうなので昔の人の足の強さはすごい!(美濃太田宿~大湫宿間は約31キロ)

 御殿場跡を過ぎると県道65号線に合流し、暫く進むと県道から分かれて再び細久手宿手前まで山中の峠道が続く。寄り道だらけの歩きなので宿に着くころには夕闇が迫っていた。

◆細久手(ほそくて)宿~大湫(おおくて)宿(岐阜県瑞浪市)
 約6キロ。細久手宿の大黒屋は尾張徳川家指定の本陣格の宿(本来の本陣・脇本陣は別)で、安政6(1859)年の再建以来の営業だ。最近は中山道を歩く外国人旅行客の予約が多く、予約が難しい。今回は若いロシア人カップルと思われるハイカーがいた。昔のままの作りで、食事中のみ暖房が入る部屋なので風呂、トイレ、洗面所は恐ろしく寒かった。今回紹介する宿場間の道路は一部が国道・県道になっているが、旧街道は言うまでもなく、途中にコンビニ、自動販売機が全くない。峠道を歩くと腹はすくし、喉も乾く。大黒屋を発つとき、大きな握り飯とお茶を準備してもらって助かった。

 両宿の中間あたりには木曽路名所図会にもある琵琶峠という石畳が730メートルに亘ってある。昭和45年に発見されたという。京側入口が分からず、江戸側まで行って気がついたため、峠道を往復する羽目に・・・。京側から街道を歩く人の多くが迷うと大湫宿案内所で聞いたが、まさに図星となった。

◆大湫宿~深萱(ふかがや)立場跡~大井宿(恵那市)
 約14キロ。大湫宿には皇女和宮が宿泊した本陣跡があった。旧大湫小学校の校庭として残っている。宿の江戸側には直角に曲がる桝形(ますがた)があり、20を超える登り・下り坂が続く十三峠へとつながる。両宿の中間には深萱立場(茶屋)跡がある。この峠道も山の中を通り、旧中山道の風情が色濃く残っている。雰囲気は良いのだが、どこまで歩いても登り下りの坂が続くのには参った。深萱立場に着いたときはほっとしたが、この後も再び峠道が続くと分かった時は流石にため息が出た。深萱立場から十三峠の後半にも皇女和宮が休息した見晴らしのよい御殿(姫御殿)跡がある。更に歩いて中央高速道を跨ぎ、入口の大井橋を越えてやっと着いた~。

◆大井宿(恵那市)~中津川宿(中津川市)

 約10キロ。大井宿の桝形(ますがた)を抜けてちょっぴり急な坂(寺坂)を上り、中央高速道路を跨いで中津川に向かうが、ひたすら平地を歩く。もう昼が近いのに、大湫宿観光案内所でもらったガイドブックに書かれていた県道番号が間違いで街道でない方向へ進み、気付いて分岐点まで戻るのに2時間の無駄足を踏んでしまった。ここでやっと初めてレストランを見つけ、元気を取り戻す。この後は比較的スムーズで、坂本立場前と『こでの木坂』の急坂を経て中津川に到着した。

◆最後に、今回紹介した宿場間の特徴は、
①旧街道案内表示が充実していて分岐点での方向が分かりやすい。
旧跡説明が充実している。
③旧街道沿いに適宜トイレが設置してある。でも数は限られているので、こまめに利用したほうがよい。
県道、国道部分も含め、コンビニ、自販機等は全くない。食料と飲料は必需品だ。

                     大津市   今川 克己

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