私は電化の設計から産業機器の資材という異なる製品、異なる職種へと転換し、はっきり言って苦労した。
資材の前々任者は突然死、前任者は激務で家庭崩壊回避のために転職した。
私はと言えば、ストレスでひどい痔になり、また心臓ショックで２回も死にかけた。

そんな中でも楽しい仕事もあった。事業部が統合した際に「主要仕入れ先懇談会」を開催し事業部幹部、仕入先の社長、営業責任者を招いての会合と懇親会を開いた。

営業出身の事業部長からは流石に的確な指示があった。
「懇親会には屋台も出せ、雰囲気が違う。試食会もやって注文をつけろ」と。
だから経理も予算にすぐにハンコをくれた。

楽しかったのは、懇談会席上で読み上げて渡す感謝状の文章作成だった。
資材の担当者と相談しながら「こういう一文を入れたら、あの社長泣くだろうな」と言いながら考えた。
案の定、感謝状をもらって涙をこらえる社長がいた。

懇談会の数日後に仕入れ先の営業部長が来て「社長の指示です教えてください。どうすればパナソニックからの感謝状をもらえますか？」とのこと。
パナソニックの感謝状があれば、会社に箔がつくし、求人にも効果があるからということだ。
「ＱＣＤ（品質向上、コストダウン、納期遵守率向上）で成果があれば表彰させていただきます」と返事をした。

コストダウンが進んだことは言うまでもない。