【奈良の民話/伝説⑥】柳生石舟斎と一刀石

「柳生石舟斎と一刀石」

奈良市柳生町の「芳徳寺」(柳生家菩提寺)から約700m離れた戸岩谷に「天石立神社」(あまのいわたてじんじゃ)があり、その奥に約7m四方で中央から2つに割れた巨石があります。
これが「一刀石」と呼ばれ、最近では人気アニメ『鬼滅の刃』聖地巡礼の地として人気のスポットとなっているそうです。

伝説のあらすじは写真の下にありますのでご覧ください。
(なお、写真は2018年6月に撮影したものです)

《伝説のあらすじ》

むかし、柳生宗厳(むねよし)というものすごく強い剣術づかいがいました。やがて戸田一刀斎という先生を打ち負かすほどの腕前になり、うわさをきいて方々から腕自慢が柳生にやってきましたが、宗厳に勝てるものが一人もいませんでした。
ある日、東国から上泉伊勢守秀綱(こうずみいせのかみひでつな)が柳生にやってきました。秀綱は新陰流という剣法を編み出した名人で、剣豪同士の一騎打ちは秀綱の神業のような剣法の前に、宗厳は簡単に一本を取られました。宗厳は秀綱の弟子にしてもらい、それからは雨の日も風の日も休む暇なく修行に励んだそうです。
すると、ある夜、天狗が出てきて
宗厳に襲い掛かりました。宗厳は、この天狗を「えいっ」と一刀のもとに斬り捨てました。あくる日に行ってみると、天狗はいません。ただ、そこにあった大きな石が真っ二つに斬れていました。
それで、その石を「一刀石」と呼ぶようになり、その石には今でも天狗のつけた傷跡が残っているそうです。
宗厳は鍛錬を続け、望みどおり日本一の剣豪になって、のちに名を柳生石舟斎と改めたそうです。

(2021.1.27 小西 宏明)

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