2023年度最終の例会を、3月25日(月)にラボール京都にて開催しました。出席者は32名でした。今回は、まこと不動産・行政書士真事務所代表の井上真様に、『不動産と相続と老後あれこれ~事例を交えて~』と題してご講演をしていただきました。
井上 真(いのうえ しん)さんは、京都西陣(紫竹)で生まれ育たれ、地元の小・中・高を経て、同志社大学経済学部を卒業されました。1967年生まれで御年56歳です。自己紹介の中で、職歴が大変ユニークでした。1991年に総合印刷メーカー(NISSHA)に入社され、1995年からは中華そばチェーン本部(天下一品)では取締役部長として、用地取得・賃貸借・売掛金管理・フランチャイズ契約・各種契約書作成を担当され、その間に2002年に宅地建物取引主任者を登録。その後2006年に酒販小売チェーン本社「リカーマウンテン」に入社、店舗開発や酒販小売免許取得・民事再生会社支援業務を担当。2008年に行政書士試験合格。2009年に独立されて開業されました。今年で16年目を迎えられます。1992年には、松下政経塾・京都政経塾第1期生(社会人夜間コース)を受講されています。この経歴を見るだけでも、井上さんはかなりユニークなキャリアの持ち主と言えます。
私達の年代になると老後の備えが心配になります。死ぬまでの自身の生活費と介護や療養費用の準備は元より、特に不動産の扱いや相続問題も大変気に掛かる問題です。先ずは<気持ち編>からスタートです。「死んだら」よりも「死ぬまで」が大変と認識し、死ぬまでの自身の生活費と介護や療養費の準備を主眼目に置き、「残さなくていい」「自分のことを考える」が大事だと話されました。
グループホーム?自宅?施設?病院?のどこを終の棲家にするかも鍵になります。出来ない事が増えて行く事への諦観(あきらめ)の醸成(老うつの防止}や介護・病気・障害・社会的弱者の視点に立って考えることも肝要です。
次に<法的なこと編(生きている間)>に入り、「法律」は万全ではなく、世の中の価値観とともに変化するものと理解し、法の常識は世間の非常識なこともあり、法に縛られる事もあるとした上で、事例を挙げてアドバイスを頂きました。再婚や同棲の注意(亡き後の事を熟慮・相続争い・居住権の発生)、相続税対策としての負債を増やすアパート建設はタブー、出来るだけ流動性の高い預貯金に現金化して介護療養費用や遊興費にて使い切る、そして友人知人や親族間の普段からの共助・扶助が大事であると話されました。具体的な実例を出されての話についつい引き込まれました。その他、任意後見・後見・遺言・財産管理・家族信託・生前贈与についても触れられました。
<法的なこと編(死んでから)>では、財産目録を作成しておく、相続税対策、死後における家族間のパワーバランスの変化、遺産分割協議における「勘定」と「感情」、法定相続分は「must」ではなくどう分けるかは自由、相続手続き業務をどこに任すか(金融機関と士業の違い)等について話されました。今回は特に、項目ごとの参考資料と「資料」1~8もご用意して頂いたので何かの時には参照できるように、必要と思われたらいつでも無料で相談に乗るとも言って頂きました。何か問題に直面した時は、自分で抱え込んで悩むよりも、「餅は餅屋」の通り専門家に相談することが解決の近道だと再認識しました。休憩時間や講演後に、講師のところに足を運ばれる方が何人もおられ、今回の講演のテーマは、私達年代にとって大きな関心事であることを改めて感じました。
今回のような実務的かつ実利的なテーマの講演は、今後も取り上げていってもいいなと主催者として受け止めました。最後に、井上真講師に対して御礼を込めて拍手でお見送りしました。
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