第71回「京都・学ぶ会」小山幸容様(華道表現派四世家元、造形作家、アートセラピスト)講演報告
秋が深まる中の11月27日(月)ラボール京都にて、華道表現派四世家元であり、造形作家やアートセラピストとしてもご活躍されている小山幸容様に『私を生きる』と題してご講演をしていただきました。京都に生まれ、先代の父(榎本華峰)から100年の歴史のある華道の流派を引き継ぎ、いけばなの指導と共に造形作家としても国内外で活動されています。ヨーロピアンフラワーデザインを取り入れ「時空と芸術」「自然と芸術「環境と芸術」をテーマに独自の表現を追求し、花の総合プロデュースに取り組んでおられます。いけばなには生花と自由花がありますが、この流派は後者に主体を置き、アルファベットの形を取り入れて自分の表現力を発揮することを目指しておられます。日本の住空間が戦後大いに変化し、日本間や床の間等のない家が主流となった中で、新しい空間でのフラワーデザインを発表されています。一方、造形作品においては、植物を中心に、鉱物、古布、ガラス、金銀箔などを使用して、それらの材料の特質を取り入れて、相反するイメージ(大胆で繊細、力強く優美)が混在した独自の造形作品を発表されています。最初に先生の作品を写真で、パリでのいけばなのデモンストレーションは動画で拝見しました。そして華道家としてのこれまでの歩みをエピソードを交え語られました。続いて、ご自身のプライベートな話をされました。特に10年にもわたるご主人とご両親の介護と見送り、その後のご自身の発がん・手術と大変な経験をされましたが、そのような苦労を微塵も感じさせない凛々しく美しい今のお姿でした。
講演の中で、いくつか心に残る言葉を紹介されました。人が心地よいと感じる要素として、1.香り 2.音楽 3.芸術 4.ダンス があり、<幸せを感じる要素>1.楽しいことを経験する 2.睡眠 3.食べること 4.声を出す・泣く・排便 <四つの健康>1.身体 2.心・精神 3.魂 4.社会の一員としての健康 を挙げられ説明されました。また、ご自身のキャリアの中で、少林寺拳法やアーチェリーの体験、社交(競技)ダンス の紹介もありました。更に大学3年生での結婚、宇治茶の老舗(山政小山園)の前副社長夫人としてのお仕事と、本当に波乱万丈の人生を歩んで来られました。でも拝見するお姿からは、背筋の伸びたスタイルのよい小山様しか目に写りませんでした。
2部では花をいける簡単なテクニックとアドバイス(水切り、花留め、花のあわせかたと葉物の大切さ、花と器の関係)を「なげいれ」のデモンストレーションで見せていただきました。男性会員も興味を持って拝見していました。今回、女性会員が6名も欠席されたのは残念でした。参加者数は28名でした。デモンストレーションのお手伝いに、パリ在住の森田浩之さん(パリ支部長、ファッションライター)が随行されました。
講演の中で印象に残った言葉は、「与えられた人生の中で自分の大切なことを早く自覚し、私を私らしく生きる、そして自分の喜びを感じること」そして「自分の人生も芸術」でした。講演タイトルの「私を生きる」は、まさに小山様そのものを語り、そこから何かを伝え、掴んで欲しいとの問いかけのように受け止めました。感謝と御礼を込めて、拍手でお二人をお見送りしました。
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