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第68回「京都・学ぶ会」井上昌幸様(日新電機OB)講演報告

 梅雨入りの雨の中、5月29日(月)ラボール京都にて、37名の会員出席で、「青銅器盤と路面電車終点ループの旅~また日に新た~」と題して、井上昌幸様を講師にお迎えして開催しました。講演会に先立って、「総会」を開き、2022年度の収支報告があり、会費徴収の規約の再徹底と合わせて承認を得ました。

 井上様は、1947年生まれの75歳で、兵庫県小野市のご出身で、現在は城陽市にお住まいです。神戸大学の工学部電気科(強電教室)を卒業され、右京区梅津の「日新電機株式会社」に入社されました。最初は、旧国鉄や電力会社向けの高電圧電力機器の研究開発に従事されましたが、その後一時東京駐在を経て、それ以外は本社工場で勤務されました。社内異動で、本社部門(広報・IR部門)、能力開発センター、総務人事部門、総合企画部門と要職を歴任されました。その過程で、日新電機の社名の由来に興味を持たれ、社内報に「日新のルーツ探訪」を連載され定年退職まで続けられました。

 中国最初の王朝・殷の創始者・湯王が使っていた青銅器の盤に、「まことに日に新たにせば、日日に新に、又日に新なり」(湯之盤銘曰 苟日新日日新 又日新)と刻まれており、創業者(富沢信)の進取の気性を体現するものとして、創業以来踏襲された「日新」の志は今日まで連綿と受け継がれています。青銅器盤を求めて、2008年12月の台湾旅行を皮切りに、年2回の頻度で台湾・中国へ旅行、2009年からはニューヨーク、ワシントン、ロンドン、パリ等の美術館・博物館も訪問されました。
 一方で、2015年4月ミュンヘンで「路面電車終点ループ」に遭遇されてからは、欧州を中心にベルギー、ドイツ、フランス、チェコ、オーストリア、大連、香港などに終点ループを求めて訪問を続けられました。海外旅行回数は、約50回を数えます。その後、コロナ禍のために海外旅行を控えられましたが、2020年⒑月に「青銅器盤と路面電車の旅終点ループ~また日に新た~」を執筆され上梓されました。また青銅器盤の刻字の勉強の一環として、嵯峨美の生涯学習講座の刻字・篆刻コースを受講され、篆刻を新たな趣味に加えられてもいます。そして私の篆刻仲間でもあります。

 講演の二つのテーマについて、訪問先ごとに映像による説明がありました。訪問先ごとの報告は省略しますが、そこには井上様が興味を持たれたものに対する、趣味のレベルを超えた飽くなき探究心・研究心が伺えました。「湯王の盤」を訪ねる旅を終えた結果は、「日新」などの文字・銘が刻まれ盤はなかったが、秦の始皇帝の兵馬俑の発見のように、今後の継続した発掘調査による成果に期待しつつ、当面は情報収集に努めたいと締め括られました。後半の部では、日本では見られない終点ループの映像を通じて、交通システムの日本と欧州の違いを再認識できました。欧州での終点ループと対応するトラムの存続を願いつつ、新たな国々(ロンドン、イギリス連邦、オーストラリア等)でのトラムに乗りたいと言う意欲を示されました。

 井上様は、今回の講演テーマとは別に、「京・下鴨の谷崎潤一郎~「石村亭プロジェクト」活動日誌~」の著作、「京都SKY大学同窓研修会」会長、(公財)京都SKYセンター・理事、日本粒あん協会・理事/事務局長などもされており、幅広い趣味を通じての活動ぶりは実に若々しく、私達も大いに見習って、これからの人生をより豊かなものにしていくことの自助努力の重要性を感じ取ることが出来ました。井上様、有難うございました。

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