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第59回「京都・学ぶ会」上仲昭浩様(京もの認定工芸士・京友禅金彩工芸)講演報告

 2021年10月25日(月)ラボール京都にて、上仲昭浩様に「金彩工芸の世界」と題して、ご講演をしていただきました。今回もコロナの「緊急事態宣言」の影響で、当初9月27日の開催予定を延期しました。33名の出席でした。
 上仲様は、1969年生まれの52歳です。高校卒業後7年間金彩工芸士の元橋宏太郎氏に師事後、家業である呉服金箔加工「二鶴(ふづる)工芸」に入社されました。その後数々のコンクールや公募展に入選・入賞され、2008年には京の若手職人「京もの認定工芸士」に認定され、現在ご活躍されており将来性有望な方です。また弟の正茂さんは「手描き友禅」の職人で、「京友禅」の「京もの認定工芸士」の認定を受けておられます。

 京友禅は18~20工程ある各職人の分業体制が特徴です。1枚の着物が完成するまでに各工程の職人の手を通ってくるわけで、「金彩加工」は後半の仕上げ工程の一つです。先ずは、金彩工芸の歴史についての説明がありました。「金彩技法」のルーツはインド・ジャワ、そして中国の唐時代に始まったと言われますが、日本でも古来の染色技術の絞り染めと刺繍と金彩技術が併用されて、桃山・江戸時代にその技術は確立されており、帯や着物に絢爛豪華な装飾の美が完成されています。その歴史をたどって、印金(種類・技法)、伝法衣、摺箔、茶道や能との関連、陶磁器における金彩の歴史、衰退と復活・発展の歴史等々について、かなり専門的な内容にまで入って解説をして頂きました。今回の講演を引き受けられてからかなりの勉強をされたことが、ご用意していただいた講演資料に伺えました。
 昭和になり印金から金彩工芸へと名称が変更になり、現在では異分野の職人・作家たちとのコラボレーションによってインテリア・バッグなどの実用品にもその技術を生かした商品が作られています。講演の終盤では、おおまかな金彩技術や使う道具、箔を接着させる糊(接着剤)の新しい開発(合成樹脂糊)の説明と、制作の映像などを見せていただきました。また金彩工芸を他の分野とコラボした作品(商品)の展示即売もあり、会員は興味深く見ていました。今後も京都に継承されている伝統工芸の各分野について、当会で勉強する機会を持ちたいと思いました。

 

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