第49回 京都学ぶ会開催しました
表具の世界
● 講 師: 衣川 充洋様 (表具師、日本画家)
● 開催日: 2019年5月27日(月) ラボール京都・第8会議室
● テーマ: 「表具の世界」
● 出席者数: 43名
福知山市出身の表具師、衣川充洋様(47歳)に「表具の世界」を語っていただきました。
家業の表具店を継いで、表装一級技能士、京表具伝統工芸士でありますが,佐藤太清(文化勲章受章者)等に師事され、日展会友の日本画家としても活躍されており、会場には自作の掛け軸が並べられました。仕事上、お茶の世界(裏千家淡交会所属)でも地域の役職を持たれて活躍されています。
午前中に初めての試みとして、「ミニ屏風作り体験教室」を2班、各5人づつが参加して行いました。講師の懇切丁寧な指導のもと、参加者は初めての表具を自分の手で行い、両開きのミニ屏風を完成させて達成感を味わいました。いずれも素晴らしい出来で映えで、満足のゆくものでした。
最近は表具師のお世話になることは極端に少なくなりましたが、表具には長い歴史があります。10pに及ぶ講演資料が配布されました。表具は仏教の伝来とともに、鎌倉時代に中国・宋時代の表具形式が日本に伝来され、室町時代に今の形式が完成しました。お茶の世界との関わりが大きく、最初は絵画ばかりでしたが、室町中期から中国僧の墨蹟を掛け始め、次第に日本人僧侶の墨蹟を千利休が珍重しはじめ、『掛物ほど第一の道具はなし・・・』と言われるほどになりました。利休がまた本紙の保存を重視したことが、今の文化財保存の意識に残っています。
表具の各部名称と種類(巻物、屏風など)、表具の種類、材料の説明(裂地、軸先、和紙、糊)掛け軸を掛ける時、掛け軸を終う時、手入れ(年2回春と秋の晴れた日)についても詳しく説明をしていただきました。特に、掛け軸のしまい方のコツを、実技指導を加えて親切に教えていただきました。
参考品として、「源氏物語」に由来した自作の掛け軸等を数点後方に並べられました。表具師と呼ばれはじめたのは江戸時代からで、それまでは装こう師(巻物)、経師屋、表補衣師に分かれていました。最近は日本家屋の中に床の間がない家が多くなり、掛け軸等の需要が激減しています。この機会に是非日本の伝統工芸である表具に関心も持ち、家の中に掛け軸などの表具作品を展示して貰えれば今回の講演の意義があったと思いました。
エプロンをかけた職人さんのいでたちで、裏打ち(糊張り)等を実演していただきました。
質問にも丁寧にお答えいただきました。講演の最後には大きな拍手が送られました。
講演会終了後総会があり、藤川会長より講師を交えた懇親会への参加希望があれば申し出て
下さいと提案され、また森岡会計より前年度の収支報告がされ、これらの議題はすべて承認されました。
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