山背古道(史跡めぐり)
251回 くらわん会例会 2017年4月4日(火)
〈行程〉JR・木津駅 ⇒ 大智寺 ⇒ 泉橋寺 ⇒ 上狛環濠集落 ⇒ 小林家住宅 ⇒
JR・上狛駅 ⇒ 高麗寺跡 ⇒ 山城郷土資料館(昼食)⇒ JR・上狛駅
〈距離〉約7km 〈参加者〉 105名
★JR木津駅に集合
今回の集合場所であるJR木津駅は、かつての片町線(現 学研都市線)の終点としてなじみのある駅でしたが、利用したことのない駅のひとつでした。奈良線への接続駅でもあり、2007年に新しい駅舎になってとてもきれいな駅になっています。JR木津駅西口から見た駅舎の形もユニークですてきな駅舎に生まれ変わりました。
晴天の中、朝会で本日の行程説明、次回例会説明、谷さんの75回表彰、準備運動を終え、第一目標の大智寺に向け出発します。木津駅西口より東西連絡通路から、東口に出て、JR沿いを北へ向かって歩くとしばらくして関西本線の踏切を越え左折、奈良線の踏切、国道24号線の下を抜けて右折、「大智寺」に到着します。ここで最初の休憩を取ります。
★大智寺合
「大智寺」は、叡尊によって創立された真言律宗西大寺の末寺です。本尊の文殊菩薩と十一面観音は重要文化財、本堂・庫裏・鐘楼堂・山門・附石造十三重塔は京都府登録有形文化財に 指定されており、建築は京の宮大工による質の高いもので、これだけの伽藍は当時(江戸中期)の建造物としては珍しいのだそうです。境内の桜(樹齢56年)は、数輪咲いていました。 この週末には満開になりそうです。大智寺を出発し、泉橋寺に向かいます。
★茶問屋ストリート
途中、木津川に架かる「泉大橋」(長さ384mのカンチレバー式トラス橋)の歩道を渡っていると、向こうに、お茶屋の看板が見えてきます。ここ南山城地方は、幕末のころからお茶の栽培が盛んになりました。
上狛地区では最盛期に約120件の茶問屋が軒を連ね「東神戸」と呼ばれるほど賑わいを見せていたそうです。現在もこの地区には約40件の茶問屋が営業を続けており「茶問屋ストリート」とも呼ばれています。泉大橋を渡り、国道24号線をさらに進み左折すると、「泉橋寺」に到着です。
★泉橋寺
「泉橋寺」は、行基が740年に開いた泉橋院、隆福尼院を前身とする寺院で、行基創建四十九院の一つと言われています。境内にある五輪塔は国の重要文化財に指定され、 地蔵堂跡に露仏として鎮座する石造地蔵菩薩坐像は、鎌倉時代に造られたもので、像高は458cmあり日本一の石地蔵として有名です。泉橋寺の周辺も環濠集落同様に古い町並みが残っています。泉橋寺から右折し、「上狛(かみこま)環濠集落」へ向かいます。
★上狛環濠集落
上狛の通称「大里」と呼ばれている地域は、周囲を堀に囲まれた南西330m、南北約360mを誇る中世以来の環濠集落です。今、町並みを歩くと環濠集落跡の堀が南東から南西を通り、北西へ抜ける部分が残っています。この環濠集落は環濠で囲まれた中に、田畑と村があり堀の内側に土塁を築き、竹薮や雑木林を連ねていました。
人々は郷とか垣内(がいと)と呼ばれる単位で共同生活を営んでいました。この単位は今でも生きていて、角垣内・城垣内・御堂垣内・磯垣内・殿前・小仲小路・野目代という七つの郷名が通称名となっています。集落内には、この村の頭であった狛氏の居城(狛城)があったと考えられています。
郷の交差する場所には、共同井戸である「郷井戸」が点在し、そのうち「狛どんの井戸」(いぬいの井戸)と呼ばれる大井戸も現存しています。途中で上狛小学校前で休憩をとりながら、細い路地を通り、「小林家住宅」へ向かいます。
★小林家住宅
「小林家住宅」は、寛文5年(1665)に建築されたもので、南山城地域では最古の民家建築です。土間と座敷からなり、座敷はほぼ田の字型で、これは当地で最も一般的な農家の間取りです。
小林家住宅主屋は2003年に国の重要文化財に指定されています。小林家住宅を見学後、来た道を戻りJR上狛駅経由で、昼食場所であり最終目的地である「山城郷土歴史館」へ向かいます。
★山城郷土資料館へ向かって
このあたりの丘陵地には古墳が多く存在しているようです。椿井大塚山古墳は、国鉄奈良線の法面拡張工事の際に竪穴式石室が発見されています。石室から三角縁神獣鏡が三十数面を含む、多くの埋葬品が出土し、大きな注目を集めました。当時の出土品が数多く展示されている「山城郷土資料館」へ向かいます。向かう途中には、のどかな田園風景が広がり、のんびり歩くことができました。路肩には、つくしもあり多くの方がおみやげに採っていました。ナイロン袋を一杯にする人もチラホラ!。
★山城郷土資料館の見学と昼食
「京都府立山城郷土資料館(ふるさとミュージアム山城)」は、南山城地方の特色ある歴史と文化を、考古・歴史・民俗の各分野で調査研究し、こうした風土と文化がつくられた歴史的背景と変遷を 明らかにするとともに、その成果を体系的に展示・公開していくことを通じて府民の歴史学習を深める場とし、また貴重な文化遺産を永く保存することを目的とし30年程前に建設されたそうです。資料館入口の左側の桜一本だけ、きれいに咲いていました。
また資料館の屋上からつながる山道を上がると、竪穴式住居もあります。
資料館側で用意していただいた3階の昼食場所、屋上や資料館の周辺などで昼食をいただきます。屋内での昼食は、4月にしては暑く感じる今日の例会にはとてもうれしいプレゼントに思えました。昼食後は資料館の見学です。ここは「南山城の歴史と文化」を常設展示しており、貴重な展示品を見学するだけでなく、わざわざ4人の説明員の方々をスタンバイして頂きました。皆さんの質問にも詳細に回答いただき、楽しく過ごすことができました。有難うございました。
★山城郷土資料館からJR上狛駅へ
山城郷土資料館から上狛駅へ向かう途中、高麗寺(こまでら)跡の石碑が見えてきます。高麗寺は上狛の台地、棚田の中にあって、府内最古の古代寺院で飛鳥時代、6世紀末、渡来僧(高麗僧)の恵弁により 創建されたとの伝承があります。1938年に発掘が開始され、これまでに 塔・金堂・講堂・中門跡などが見つかっています。1940年に国指定史跡に指定されました。 郷土資料館からJR上狛駅へ向かい解散しました。お疲れ様でした。
取材:吉川、永井、中溝、松島 HP作成:松島