QOL 松愛 突然介護:病院において

病院において

医師に正確につたえるべき内容

医師が正確な判断と治療を行うためには正確な情報が必要不可欠です。
・「いつ」「どこで」「何が」起きたか
・「どんな」症状がでたか
・既存治療中の病気と薬の一覧(お薬手帳)

 症状は刻々と変化し、病院に行った時には症状が消えていたり、違う症状になっていたりした場合、医師にその時の症状を伝えただけでは正確な判断ができず、判断を誤る可能性があります。薬が原因である場合もあるのでお薬手帳は必ず提示してください。事故や症状が起きた時から病院に着いた時までの正確な情報を記録して伝える。こちらが伝えた内容は、日時とともに記録して残してください。

医師・病院から教えてもらうこと

・病気の原因と治療方法
・回復の見込み
・症状・原因がわかるデータの入手(MRI、CT、レントゲンデータ)
 セカンドオピニオンに必要

 医師から聞いた内容と処方された薬を、日時とともに記録してください。こちらから伝えた事故や症状発症時の状況とMRIなどのデータと合わせることで、処置や治療が適切であったかを後日正確に判断してもらうためにも必要です。

セカンドオピニオンを聴く

 重篤な症状や大きな手術が必要な場合は、現在の病院が地域の大きな病院であっても、専門の科がある大きな病院でセカンドオピニオンを聴くべきである。
 セカンドオピニオンは、転院しても良いと思える専門医と医療設備が充実した病院が望ましい。
ほとんどの大病院には「セカンドオピニオン外来」があります。大病院の場合はセカンドオピニオンは完全予約制、費用は保険適用外で、時間や内容により1万円~3万円です。また必要書類(保険証、本人確認、同意書、診察データ(診察記録、MRI、CTなど)などの提出を求められる場合もあるので、事前に病院に確認し予約をして対応しましょう。また専門医のいる個人病院でも対応していますので、「セカンドオピニオン受診可」で検索して目的に合った病院を探してください。

 病院で受診した診察内容・レントゲン・MRIなどのデータは医療個人情報に該当し、要望すればコピー代金・事務手数料等の実費(保険適用外)を負担することで、資料や画像データのコピーをもらうことができます。ちなみに画像データ(レントゲン・CT・MRI・MRAなど)は画像枚数に関係なく、CD-R/DVD-Rデータとして、1000円~3000円/枚でコピーしてもらえますが、病院によっては、1画像1000円でCD-R/DVD-R1枚で数万円請求する病院もあり弁護士事務所等から注意喚起が出ていますので、依頼時に金額を確認しておきましょう。フイルムにコピーしてもらう場合は1枚1000円程度ですので、画像枚数が多い場合は高額になります。

 医師といってもレベル格差は大きく、専門医であっても得意・不得意があり、病院の治療方針や医療設備・手術ロボットの違いや性能によって対応できる治療法や手術の術式が異なります。
 医学は日進月歩で最新治療も最新設備もどんどん進歩しており、患者の症状に適した病院・治療方法を選ぶことが重要です。
 セカンドオピニオンの意見も記録しておきましょう。万一医療過誤が疑われる場合、裁判所で判断されるのは記録が全てです。こちらが伝えた内容、医師から聞いた内容がカルテに正確に記載されていない場合も多いので、記録は一言一句しっかり残しておきましょう。

私の体験記(#1) 妻の脳梗塞!! 水上俊彦(8班)

 私の妻は、地域の総合病院の待合室で脳梗塞を発症しました。

 東京に出張していた私に病院から連絡が入りました。総合病院での発症ということで安心しながらもすぐに大阪に帰り、病院に着いて状況を確認すると、とんでもない事実が判明したのです。

 病院からは、「CTとMRIを撮って血液の流れをよくする薬も処方したので、もう大丈夫です」との説明があったのですが、発見された時の事情を聴くと、「病院の診察時間が終わったにも関わらず待合室に人がいて、声をかけたら、声も出ない身体も動かせない状態だった」ので、その後に身元不明者としてMRIとCTを撮り、その結果は、待合室で脳梗塞になったのではなく、「脳梗塞の患者がなぜか病院に紛れ込んで待合室に座っていた」と判断されたのです。

 妻は「自分で車を運転し病院に行き、病院の駐車場に車を止めて、自分で受付をして待合室で診察順番を待っていた」にもかかわらず「待合室で脳梗塞が発症したのではなく、脳梗塞の患者が徘徊して病院に迷い込んで待合室に座っていた」と判断されたのです。

 しかも後で処方された薬を確認すると医師の説明とは違い、処方された薬は血液の流れをよくする薬ではなく、脳の安定剤でした。さらに入院当初少しは話ができ、支えれば歩くことができたのに2日目の朝に完全に植物状態になっていました。すべての筋肉が緩んでダラリとした状態で、眠っているのとは全く違います。容態が急変したと感じたので、再検査と治療法の見直しを依頼しましたが、主治医(総合病院の院長)は、脳梗塞とはそんなもの、よくなったり悪くなったりを繰り返すとの主張でした。

 それで、その日の夜に他府県の大病院にセカンドオピニオンを求めたところ、「それは大変な重篤な状況です、新たに脳梗塞が発病した可能性があります、すぐに転院が必要」との判断でした。ベットが空いていないとのことでしたが、緊急事態ということでその翌日に救命救急病棟に転院することができ、検査した結果、脳にほとんど血液が流れていない、血管も映らないという重篤な状態と判明。

 MRIでも血管が映らないのでどこが詰まっているのかもわからない、血管の位置もわからないので手術もできないとのことでしたが、私の希望で大きなリスク(死亡またはさらに悪化する)は伴うが手探りで手術することになりました。その結果手術は成功し、妻は言葉も身体も不自由はありますが、その後のリハビリの効果で、今では一人でトイレも風呂にも入れる状態まで回復しています。 

 最初の病院での判断は、脳梗塞は病院に入院する前に1回だけ発症したという見解でしたが、セカンドオピニオンの病院の検査結果では、地域病院に行く前に軽い脳梗塞を発症して、病院の待合室で2回目の脳梗塞が発症、入院中に3回目の脳梗塞を発症したというものでした。

 ここでの教訓は、最初に医師に正確な情報が伝わらず、間違った治療になってしまった点(待合室や入院中に脳梗塞を2回も病院内で発症したにも関わらず、そう判断されず、脳梗塞発病4時間以内に必要な処置がされなかったため植物状態になってしまったこと)です。さらに専門医のレベルが低くてMRI、CTを撮ったにも関わらず正しい判断(院内で2回の脳梗塞発症)がされなかったことです。
 しかしセカンドオピニオンによって最悪の事態は回避され、植物状態・脳死一歩手前から回復し、半身不随は残っていますが、毎日デイケアに通いながらもそれなりに自由な生活をしています。

 この事例のように、正確な情報を伝える、治療や処方薬を検証する、セカンドオピニオンを聴くこと、病気や怪我の症状に応じて優れた専門医と設備のある病院を選ぶことが、極めて重要なことであり、その後の本人のみならず家族の人生を大きく左右することになります。

作成:水上

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