枚方の名勝(第2回)伝統の職人芸 枚方菊人形

第2回『伝統の職人芸 枚方菊人形』

2001年11月23日 取材

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枚方市の花「菊」

 枚方市の花は1962年に「菊」に制定された。これは枚方市の伝統的芸術「菊人形」と結びつきが深く、土地が栽培にも適しているからという。 枚方市役所のすぐ横には今年も市民が栽培した「菊花展」が盛大に開催されている。

 第90回「枚方大菊人形」が源氏物語をテーマに、この秋も「ひらパー(枚方パーク)」で始まった。枚方菊人形は明治43年(1910)の秋、京阪電車の開通を祝って、香里遊園地(聖母女学院辺り)へ東京で人気のあった菊人形を持ってきたのが最初のようだ。大正元年(1912)第3回から現在地にうつされた。枚方生まれの菊人形研究者 「川井ゆう」さんの研究によると、菊を何かに見立てて栽培した造形菊がその始まりで、それが発展した菊人形第1号は天保15年(1844)の江戸巣鴨の寺院の飾り物だそうだ。

伝統を引き継ぐ枚方菊人形

  江戸ではその後、団子坂で歌舞伎を菊人形にし、明治の初めからは興行として木戸銭を取った。さらに明治42年には両国国技館で名古屋菊花園の菊師が大がかりな興行を始め団子坂が衰退した。
 大阪でも明治の初めから、お寺や神社、公園など各地でよしず張りの小屋で展示されたが、明治30年代の末に相次いで設立された鉄道会社が旅客誘致のために常設館で興行を始めた。
 明治43年に開業した京阪電鉄が名古屋の菊花園により香里で興行を始めた。電鉄各社が興行をあきらめていく中で京阪だけが大正元年(1912)から枚方公園に場所を移した。

 その後、岐阜の浅野菊楽園が担当し、東京団子坂の菊師など全国のベテランの菊師が集結して枚方菊人形が伝統を引き継いでいった。 
 大正8年~11年までは宇治で開催、昭和19年・20年は太平洋戦争で中止されたが、戦後は千里山で開催、昭和24年(第38回菊人形)から再び現在地に戻り、名実共に日本一の菊人形の伝統を引き継いでいる。

菊人形づくりの苦労

 菊人形は等身大の人形で、基礎は3センチ角の木材や針金で強化し、竹ひごや巻藁を使って下地の胴殻を作る。
 素材の菊は人形菊という茎の柔らかな小菊で、花の周辺の葉だけ残して根はつけたまま土を払って、水苔で包み、い草で巻いて数株づつまとめて使う。
 

 1体の人形に30束程度の菊を使い、長持ちするよう根を上にして胴殻に差し込み、花を上にするため約180度、茎を折り曲げて結ぶ。この人形に頭、手足などをつけて仕上げがされる。
 菊は約10日ほどしか持たないため期間中に何度も着せ替えが行われる。人形菊の栽培は、期間中に使用する花は55,000株必要、公園内の緑地と園芸の温室で約30%、残りは農家に委託栽培されているとのことだった。
 百年を越える歴史を持つ伝統職人芸が、この枚方の地で引き継がれていることに、改めて感慨と誇りを感じた取材だった。もう一度そんな視点で菊人形を見学し直した一日となった。

市の花「菊」は市内の各小学校でも1年かけて大切に栽培され、菊花展へ出展される。地元香陽小学校の玄関にも出展を待つ菊花があった
菊人形の会場周辺には見事な大菊や懸崖が展示されている
黄金色にまばゆく輝く黄色の大菊
第三場面「春の町紫の上」
光源氏が最も愛した紫の上は春の町に住んでいました
第六場面「冬の町明石の君」
六条院の西北に位置する冬の町には明石の君が住んでいた。光源氏の唯一の娘を生んだ
菊人形に使う菊の栽培を一手に引き受ける(株)京阪園芸で栽培の苦労を伺った。
枚方パークは平成8年7月にリニューアルして「ひらパー」となった。園内の施設も若者向けに一新され人気が復活した
スカイウォーカーに乗り空中散歩すると約10分間、枚方市内が360度展望できる
四季咲きのバラが美しい「バラ園」も菊人形と並ぶ人気者
不思議でお茶目な色合いのバラがあった
第90回枚方大菊人形の出し物は「源氏物語」、久方ぶりにNHKの大河ドラマのテーマから離れた出し物になった
朝露がきらきらと光る大輪の白菊
第二場面 源氏物語の作者「紫式部」の菊人形
第五場面「秋の町梅壺」
人形一体には約30束の人形菊が使われている

第九場面「浮舟」
心を動かせた薫と偽って浮舟を連れ出した匂の宮、浮舟は宇治川に入水を決心する

京阪園芸の温室と、ひらパーの緑地では必要な菊の30%しか栽培できない、残りは近隣の農家に委託して栽培する
入場してすぐに目を惹くマジカルラグーンは、毎時0分に火を噴く「ひらパー」の象徴
園内には、木製コースター「エルフ」や「レッドファルコン」、ジャイアントドロップ「メテオ」など人気の乗り物がたくさんある
黄みがかった白バラは高貴な香りと、上品な姿を描き出す
紅バラは恋のしるしというがよくみると奥が深い。本当に恋の花かもしれない

<リポーター:鬼頭・梅原・中西・冨田 HP作成:冨田 WP編集:櫻田>

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