”彫刻、新しい創造に挑戦”
枚方市東香里南町在住
2006年12月15日 投稿
1. 彫刻を始めた動機
私はずっと以前から、我が家のご本尊は自分の手で制作したいとの強い思いを抱いていました。しかし、時間的なこと、それに肝心の師範が見つからないことから半ば諦めかけていました。所が5年前に不思議なご縁から、仏師の第一人者の江里康慧先生にお目にかかれる機会を得たのです。
これは千載一遇のチャンスと、初対面にもかかわらず、厚かましくも仏像制作の指導をお願いしました。康慧先生としては、自分は仏師で人に教えていないのでとお断りになられたが、その代わりにご舎弟の江里敏明先生に打診していただくこととなりました。
康慧先生のご尊父、江里宗平先生は有名な仏師で、ご舎弟の敏明先生も幼少より、仏像の制作を手がけておられ、指導していただけるのではないかということでした。
数日後、敏明先生に会わせていただけるとの良いお知らせをいただきました。敏明先生は京都在住で日展評議員をされておられる大変有名な彫刻家で、私も以前からお名前だけは存知ておりました。敏明先生はご自分の制作活動以外に具象彫刻の普及にも尽力なされており、一般の愛好家向けに、彫刻教室を開催されていました。
指定された日に、大変な緊張感で教室にお邪魔し、始めてお会いする大芸術家に恐る恐る近づきました。敏明先生は想像に反して大変気さくに応対していただき、即刻入門を許可していただきました。教室のメンバーが制作している作品を見て、自分にはこれまで芸術についての経験がまったくありませんが、果たしてついて行けるかという不安な気持ちと長年の夢が叶った嬉しい気持が交差したことが思い出されます。
2. 彫刻の制作活動
彫刻教室は毎週木曜日の午後開催され、会員は12人程度のカルチャースクールですが、メンバーが異色です。この教室で先生の指導をうけた方々の中には日展、日本彫刻展、全関西美術展、一陽展、創造美術展など大きな美術展に入選、入賞された方が述べにして26名もおられます。
また一方では、趣味として家族や犬それに人形など身近なものをモデルに作品を楽しみながら創作されている方々もおられます。私は毎週木曜日がくるのを楽しみに、いきいきと教室に通っています。彫刻と一口に申しましても、木や石から像を削りだす方法と粘土などで像を作り、それを石膏などで型取りし、その型の中へ樹脂や石膏などを流し込ませ、硬化後石膏の型を割り、中の本体を取りだす、いわゆる彫塑という方法の2種類があります。私がいま取り組んでいるのは後者です。最初のうちは、絵画ですら中学校までの経験しかない私にとって、立体的な表現をするなんて、別次元の世界でした。特に奥行きの感覚はなかなか把握できませんでした。
彫刻の魅力は平面でなく、立体的に自分の思いを像を通じて表現できる所にあります。皆様も一度鏡に自分の顔を映し、じっくり眺めてみてください。耳の位置が思っていた以上に奥にあること、また頬の形状は45度斜めになっていることに気づかれたことと思います。制作を積み重ねるにつれ、この立体的なとらまえ方が少しずつ解ってくることは喜びであり、楽しいことです。
その一方で、新しい作品に取り組む度にまた新しい課題がみつかり、それを克服することの繰り返しです。
3.最近の作品紹介
4.おわりに
私が定年を迎えた時、ある先輩から「これからの人生を楽しく、そして充実して過ごすには、”新しく打ち込める何か”を見つけること、そしてそれを継続して行くことだ。その”何か”を見つけ出したなら、始めるのは何歳からでもよい」ということを教わったことが記憶に残っておりました。実際に64歳からこれまでの技術から芸術というまったく違った分野へ挑戦してみましたが、毎日が新しい発見で、「知るは喜び」の充実した日々を過ごしています。もし、彫刻に興味をお持ちの方がおられたら、お声をかけてください。
<HP作成:冨田 WP編集:吉川>