第7回 『山田神社』
2013/11/19 取材
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枚方発見神社シリーズの第7回目として「山田神社」を取材しました。この神社は京阪バス「宮の前橋」停留所より山田神社口交差点を経て徒歩約3分の所にあります。道路に面した鳥居をくぐると森に囲まれた急な石段の参道があり、その上に本殿、弊殿、拝殿、土蔵を容する境内地があります。また、末社として本殿内に「春日神社」と「石神社」、境内地内に「稲荷神社」が祀られています。
定刻通りに長澤宮司様に社務所に案内していただき、打ち解けた雰囲気の中、当神社について懇切丁寧な説明を受けました。
【山田神社の概要】
◆所在地 | 枚方市山之上4-15-36 |
◆境内の敷地 | 約 5,000坪 |
◆祭神 | ・素盞嗚命(すさのおのみこと) ・稲田姫命(いなだひめのみこと) |
◆創建 | 弘安2年9月、田中修理亮は田中山(今の宮山)を神地として神社を造営、一ノ宮の御分霊を勧請し山之上神社と称した。明治6年2月10日、田宮の地に御鎮座の田宮神社を廃して御祭神祇園牛頭天王(素盞嗚命)を山之上神社に合祀し、双方の頭文字を取って山田神社と改称した。 |
◆主な年中行事 | ・夏越の大祓祭(6月30日) ・秋祭り(10月13日) ・新嘗祭 (11月23日) ・師走大祓祭、除夜祭 (12月31日) ・建国祭、祈年祭 (2月11日) |
【山田神社の由緒】
山田神社は香里ケ丘の南部生涯学習市民センター付近の京阪バス停「宮の前橋」から徒歩約3分の山之上の高台に鎮座しています。
山之上の土地は、北河内郡牧野郷の一ノ宮片埜神社の氏地でしたが、弘安元年の社務職でこの土地に居住していた田中修理亮(しゅりのすけ)は、田中山(今の宮山)を神地として、新たに神社を造営し同二年九月、一ノ宮の御分霊を勧請して「山之上神社」と称しました。
明治五年、村社に列せられ、明治六年二月十日、田宮の地に御鎮座の「田宮神社」を廃して御祭神の祇園牛頭天王(ごずてんのう)(素盞嗚命)を「山之上神社」に合祀し、同時に両村の頭文字を取って神社名を「山田神社」と改称しました。そして 明治十一年十二月、神饌幣帛料共進(しんせんへいはくりょうきょうしん)社に指定されました。 末社として「春日神社」、「石神社」、「稲荷神社」が祀られています。
「春日神社」は、順徳天皇の御宇「建保」年中に大和春日神社の御神霊を勧請して宮山の北麓に移して祀ったと伝えられています。
「石神社」は、寛弘元年、安倍晴明(あべせいめい)が藤田(とうだ)の里に滞在して加持石で祈祷したので、祈願者 安倍清明への感謝の気持ちと祈願の力への畏怖・畏敬の念が永遠に続くように、田中修理亮が山田神社内に祀ったとのことです。
「稲荷神社」は、安政二年五月に伏見稲荷大社の御神霊を勧請して祀られました。
「春日神社」、「石神社」は「山田神社」の本殿内に祀られ、相殿となっているのに対し、「稲荷神社」は境内地内に独立して祀られています。
【山田神社の主な神事】
1. 大祓祭
「夏越の大祓祭」と「師走大祓祭」があり、6月と12月の1年に2回行われます。夏は半年間の氏子、崇敬者の穢れを払う神事で、輪のようになった門を「左回り」、「右回り」、「左回り」で計3回くぐり、自分でお祓いをする「茅の輪くぐり」が行われます。師走は「除夜祭」を兼ねて氏子、崇敬者の1年間の罪穢れを祓い清めます。 2. 秋祭り
氏子の繁栄を感謝する祭典である「例大祭」や「お湯立て神事」が毎年10月に行われます。それに先立つ前日には「秋祭りの宵宮」といって、「子供神輿の巡航」、「御神楽奉納」、「宵宮祭」が行われ、神社周辺もひときわ賑わいます。 3. 古札焼却祭
注連縄、古札、神矢等を焼却し、1年の感謝の気持ちを込める神事で、毎年1月15日に行われます。焼却後の灰を家に持ち帰る人もいるそうです。 4. 建国祭
建国をしのび国を愛する心を養う神事と、もみをお供えし五穀豊作を祈願する「祈年祭」が毎年2月11日に行われます。なお、「祈年祭」は本来は2月17日ですが、この日に行われるということです。また、五穀豊作を感謝する祭典は「新嘗祭」として11月23日に行われます。
【取材後の感想】
- 山田神社は、森に囲まれた急な石段の参道の上にある為か、訪問に際して神聖で心が引締まった思いを感じさせられます。
穢れを祓うための「茅の輪くぐり」という神事は、自らの意思で穢れを祓うという意味で、他力本願ではなく、自らは自らでもって再生するという思いを強く感じさせられました。 - 穢れを祓う方法の一つに「形代」という白紙を切り抜いた人形(神社で用意)に息を吹きかけ、穢れを「形代」に移し神社に納める儀式がありますが、この紙は水に溶けるそうで、神社といえども環境に配慮した運営を行っておられることを認識しました。
- 秋祭りの写真でもわかるように、地域の子供も参加した取り組みがあり、神社という厳かな世間とかけ離れた存在ではなく、社会との共生を図っておられることに感動しました。
取材:金箱、坂本、福本 HP作成:福本