“ 齢(よわい)96なれど、ますますお元気で謡・書を楽しむ ”
枚方市茄子作在住
2024年5月18日取材
はじめに
今回紹介させていただくのは、枚方市茄子作にお住いの赤尾 成夫さん(1班)です。歴代の夢中人紹介では赤尾さんは最高齢の96歳です。定年後に始めた「謡(うたい)」と「書道」を生涯の趣味として現在まで続けており、現在も仲間との稽古、発表会とますますお元気に楽しんで活動されています。
取材では「謡」と「書道」の生涯学習活動のお話とあわせて、赤尾さんが入社後すぐに従事した松下電器が戦時中の国策で木製飛行機製造に大変な苦労をして取り組んだ貴重な話をおききしました。
「謡」は、能楽における声楽部分のことを指し、詞章に曲節をつけ、それを謡うことです。能楽は日本の伝統芸能の一つであり、能の演目や狂言において、物語を語り、感情を表現し、観客を引き込む「謡」は重要な役割を果します。
赤尾さんが「書道」でやられる「書画を軸物にする」は、書を掛軸に仕立てることで、作品を布や紙で表装し、竹木などの軸をつけて、床の間や壁に掛けて飾るために仕立てられたもので、縦長のものを縦軸、横長のものを横幅といい、この伝統的な方法は、作品を適切に保存し、展示するために用いられ、日本の美術やインテリアデザインにおいて重要な役割を果たしています。
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1) プロフィール
- 1928年(昭和3年)大阪市生まれ、昭和18年に松下電器社員養成所を卒業し、松下金属(株)に入社
- 6か月後の9月に横須賀の海軍航空技術廠(しょう)に派遣(社命で選ばれた18名)。当時の国策で松下電器で木製飛行機(海軍の九九式艦上爆撃機をモデルに練習用爆撃機「明星」)を製造することになり、その設計図面の勉強と管理を担当
- 1年後に帰阪して大阪府住道の松下飛行機(株)に配属。木製飛行機「明星」機は7機完成し、3機を海軍に引き渡したときに終戦となった
- 昭和23年電機事業部、昭和35年変圧器事業部、昭和45年精密キャパシタ事業部
- 昭和63年定年後、「謡」と「書道」を生涯の趣味とすることを決め、現在まで活動を継続
- 地域との繋がりも大切にして、「民生委員」を5期15年、また自治会、老人会の会長を最近まで歴任
2)謡・書道に関心を持ったのはいつ
- 「謡」は子供の頃、祖父が謡っているのをきいていたことが頭に残っていました
- 「書道」は小学生の時、書道教室にいたことが根にあるかもしれないです
3)謡・書道を始めた動機は
- 戦時中のB29の大阪大空襲、グラマンによる京橋駅での機銃掃射に遭遇したが、運よくその死線を超えたこと。また戦後の激しい労働事情の中、電機支部の支部長として青春の情熱を燃やして取り組んだこと。その後も経済危機とバブルを乗り越えて、昭和という元号が終わる昭和63年に定年となりました。本当に激動の60年間の昭和を精一杯生きたと思います
- 従って定年後は静かな生活を望んで、「謡」と「書道」を生涯の趣味として決め、活動することにしました
4)謡・書道の魅力は
- 「謡」は能の脚本、能の語りや描写をうたう芸術です。室町時代(1300年)に世阿弥によって開花しました。現在100冊の謡本がありますが、源氏物語や平家物語に由来するものが多いです。この謡を謡うことによって、1000年前の古典の世界に浸れます
- 「書道」は条幅などを書くことによって、文字の美の表現に楽しみがあります
※ 条幅(じょうふく)とは画仙紙 (がせんし) の半切 (はんせつ)等 に、かかれた書画で表装にて掛け軸にします
◆赤尾 成夫さん(号は赤尾 成昌)の書
5)謡・書道の勉強は
- 「謡」は、枚方におられた京都派の先生に観世流(かんぜりゅう)を習っていましたが、途中で松下電器の謡曲部(松謡会)との出会いがあり、今はその大阪の井戸先生のもとで修業に励んでいます
- 「書道」は松愛会の書道部に所属(上部団体は燁峰(ようほう)書道会)併せて、通信教育を利用して励みました。現在は初級師範として松愛会書道部で条幅の指導をしています
- 両者とも石の上にも30有余年、日々精進を続けています
6)謡・書道の日常の活動および発表会について
- 「謡」は週2回能舞台のある文の里の井戸先生宅で楽しんで稽古しています。また月1回は七謡会(パナソニックグループ)で謡う会に参加しています
- 「謡」の発表会は井戸先生の門下(梅春会)と松謡会(しょうようかい)メンバーでそれぞれ年4回実施
- 「書道」は月2回松愛会の集会所で松愛会書道部の初級師範として稽古に参加
- 書道部では過去は年1回作品の発表会を実施していたが、コロナ以後は会員も減り、現在は中断しています
- 松愛会枚方南支部の新春懇親会の会員作品展示会にも、書を出展参加をしてきました
7)記憶に残っている活動
- 特に活動の中で記憶に残っているのは
「謡」で平成29年名古屋の能楽堂で卒寿(90歳)祝いとして「安宅(あたか)」のシテ役弁慶を務めさせていただいたことです - 取材時に赤尾さんの「安宅(あたか)」の謡の一節をおききました
8)今後の活動の目標について
- 「謡」と「書道」の練習や発表会で月の半分は頻繁に家から出かけ、仲間と一緒に集まり会話を楽しながら学習することが健康増進にもつながっていると思っています。体力の続く限り継続して、余命を楽しみます
9)謡・書道やってみたい人へのアドバイス
- 習い事は稽古に尽きます。数を重ねることが上手の基本。上達すれば楽しみが増えます
10)その他:謡の豆知識
- 「安宅(あたか)」は、能楽の演目であり、源義経とその忠実な家臣・武蔵坊弁慶の物語を描いています。この演目は、義経が兄・頼朝との不仲から都を落ち、奥州平泉を目指して旅を続ける途中のエピソードを中心に展開されます。特に、加賀の国安宅の関での一幕は、弁慶が関守・富樫との知恵比べを演じ、義経一行が関を通過するために勧進帳を読み上げる場面が見どころです
- 「シテ役弁慶」とは、能楽の演目における主要な役の一つで物語の主人公または主要人物を演じるのがシテ役で、この場合は弁慶がその役を担います
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◇ 赤尾さんの枚方南支部活動への参加
◆2015年度年次支部総会で米寿を迎えて締めのごあいさつをいただきました
◆支部作品展への書道の出展を毎年していただきました
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- 2020年新春懇親会(下記の記事カードで参照できます)
- 2019年新春懇親会(リンクできます)
- 2018年新春懇親会(〃)
- 2017年新春懇親会(〃)
- 2015年新春懇親会(〃)
- 2014年新春懇親会(〃)
- 2013年新春懇親会(〃)
◆最近では「毎月抽選会」で見事に当選!
「毎月抽選会」7月度の当選者の皆さまに賞品をお届けいたしました。赤尾さん(1班)、中西さん(2班)、 芝さん(7班)、溝口さん(8班)おめでとうございます!
<写真提供:赤尾/取材:櫻田、中村/写真撮影:櫻田/HP作成:中村>