アボカド🥑の花の不思議
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子供のころは見られなかったアボカド。森のバターともいわれ、そのまま醤油をつけて食べたり、サラダや、カリフォルニア巻など、いろいろ美味しい食べ方ができる変わった果物です。水耕栽培でも芽が出て育つらしいというので、食べた後の種を水耕栽培し、ある程度大きくなったところで鉢に植え替えベランダで育てていました。
ところが、ある日ゴルフに向かう車中、皆で南国のフルーツの話をしているときアボカドの話題となり、アボカドは一本の木の花が午前中と午後で雄花から雌花に変わるので、木をたくさん植えていても受粉しにくく、非常に実が生りにくいという話を聞きました。せっかく育てても実がならないのであれば残念です。
キウイフルーツは雄木と雌木があり、一方の種類の木だけでは実がならないというのは知っていましたが、一つの木の花が雄花から雌花に変わる?って本当だろうかと思い、色々調べてみました。・・・知っている方は「今更当たり前のことを」と思われるかもしれませんが…..。
まず花には両性花と単性花があります。
・両性花:一つの花の中に雄しべと雌しべがあるもので、多くの植物の花は両性花。
・単性花:雄しべを持つ雄花と、雌しべを持つ雌花がそれぞれ別の花となっているもの。
単性花(雄花・雌花)をつける植物には2種類があります。
・雌雄同株(しゆうどうしゅ):雄花、雌花の両方が同じ一つの個体につくもので、キュウリ、カボチャ、スイカや、クリ、マツ、スギなどがこれに相当。
・雌雄異株(しゆういしゅ):雄花、雌花がそれぞれ別の個体(雄木・雌木)となっているもの。
キウイフルーツは雌雄異株で、イチョウやソテツ、身近ではホウレンソウも雌雄異株だそうです。
さて、アボカドはというと、普通の一般的な花である「両性花」になります。
しかし、「両性花」の中には、雄しべと雌しべの成熟期がずれていて、自家受粉できないようになっている「雌雄異熟花」というのがあります。
これは、同じ単一の花での自家受粉(近親交配)による弊害を避けるために進化したもので、雄しべが雌しべより先に成熟(雄性先熟)するもの(キキョウ、キク科、セリ科、等)と、逆に雌しべが先に成熟(雌性先熟)するもの(アブラナ科など)があります。
雄性先熟のものは、花が開いている間に雄しべが先に成熟して花粉を出すのですが、この時雌しべはまだ受粉できる状態になく、時がたって雄しべが花粉を出さなくなったころに雌しべが受粉可能な状態になる花のことです。
雌性先熟のものはこの逆で、雌しべが先で、雄しべの花粉があとです。
通常は花が開いている間にこれが起こるので、たくさんの花がついている木では隣の花と受粉が行われたり、雄しべ・雌しべの成熟度によっては同じ花でも受粉が行われたりします。
アボカドはこのうちの雌しべが先に成熟する雌性先熟の花となっていますが、極めて特異な性質があります。
雌しべが受粉可能な状態で花を開いたのち、いったん閉じ、翌日になってから雄しべが花粉を出せる状態で2回目の花を開く、しかも、1回目の開花が午前であれば、2回目は翌日の午後というように、1回目(雌性)と2回目(雄性)が必ず異なる時間帯に開花するという特殊な性質があり、これが非常に受粉しにくく、実が生りにくい原因となっているのです。
アボカドには2系統の品種が存在し、
・”A”タイプは開花1回目は午前中に雌性で開花し、翌日の午後、雄性で2回目の開花をする。
・”B”タイプは開花1回目は午後に雌性で開花し、翌日の午前、雄性で2回目の開花をする。
一つの花に注目すると左図のようになっており、それぞれのタイプだけの木が何本あっても極めて受粉しにくくなっています。
しかし、両タイプの木が混じって多数の花が毎日開花すれば左図のように受粉しやすくなります。
また、平均気温が約21度以上の時は時計のような正確さで開花をするのですが、気温が下がると日々の開花が遅延してきて不規則となり、雌性期の花と雄性期の花が同時に開花する可能性が出てくるので、単木でもまれに受粉することがあるようです。
花をたくさん咲かせても、一本の木だけであれば、極めて受粉しにくいことがわかります。そこで、もう一本、異なるタイプのアボカドであることを期待して、昨年11月より水耕栽培を始めました。もうすぐ鉢に植え替える予定です。うまく異なるタイプであればよいのですが、もし同じタイプなら人工授粉ということになります。自家製アボカドが食べれるのを期待しながら、何年間かじっくり育ててみます。
但し、大木になるらしいので要注意!
HP作成:多々納 俊志
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