ツマグロヒョウモンの記憶

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ツマグロヒョウモン♀(2021年10月31日)

ツマグロヒョウモン(2021年10月31日)

 左の写真は庭先に来たツマグロヒョウモンで、カバマダラという南方系の蝶によく似ています。綺麗な蝶です。

 ツマグロヒョウモンは数十年前には珍しく、図鑑で見たカバマダラと勘違いした思い出があります。最近では花壇などで見かける食草のパンジーに集まっていることがよくあります。

 ツマグロヒョウモンは蝶の仲間を系統的に分類したとき、「目 : チョウ目」から「種 : ツマグロヒョウモン 」にいたる七段階の階層を持つそうです。カバマダラは同じく十段階の階層があります。数億年の進化の結果でしょう。長い歴史の過程で両種は互いに影響しあいつつ独自の進化を遂げ、現在に至っています。

 カバマダラの属するマダラチョウ亜科は、体に毒性を持つことと、地球規模で集団移動をするという特徴を持つものが多く。オオカバマダラ(北米)やアサギマダラ(日本)の移動は毎年決まったように何千キロを旅します。ある時期、ある場所で(カバマダラが2009年10月に大阪市の淀川河川敷でガガイモを食草として発生したという記録もあります)、両種が混在したとき、ツマグロヒョウモンは種を保存するために擬態という特徴を獲得したのかもしれません。個々の蝶には単純な感覚機能と生存本能しかないのに、情報が集団で共有化されると、その集団はあたかも一個の意識と記憶を持った生き物のように見えます。擬態や集団大移動など、自然の巧妙なしくみに驚きます。

2021/11/12 HP作成:石田 

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