芭蕉は蝉の声を「閑さや」と詠んだ
『 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声 』
芭蕉が『おくのほそ道』の中の立石寺で詠んだ句です。先日NHKの番組で、立石寺付近は多孔質の凝灰岩が多く、蝉の声が反射せず「しみいる」と表現したという話を聴き、面白いので少し調べました。
芭蕉が立石寺を訪れた時期から推定し、鳴いていたのはニイニイゼミというのが今のところ定説らしいです。
人間の耳はよくできていて、大きな音は減衰し、小さな音は増幅するという便利なフィルターを持っているそうです。そのフィルターは9000Hz付近に共振点を持っているようです(モルモット実験)。静かなときの「シーン」という表現は、このフィルターの振動音を聴いていると言われています。少し怪しい処理ですが、ニイニイゼミの声をネットから録音し、無償ダウンロード版の音楽編集ソフトでFFTにかけると8870Hz付近にピークがあり、上記共振点に近い数値でした。
芭蕉は、実際にニイニイゼミの声を無響室に似た環境下で聴き、本当に「シーン」と感じたのではないでしょうか。実体験を大切にしたかったからこそ奥の細道を旅したものと思います。屯鶴峯は全山凝灰岩で覆われ、立石寺に似た環境です。ニイニイゼミの鳴く頃、もう一度行ってみたいと思いました。
屯鶴峯はここをを参照ください。写真はクリックで拡大できます。
2021/6/1 HP作成:石田
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