インカローズと乾電池
8年程前、交野山の帰りに白旗池を散策していたところ、左の写真(写真1)のような珍しい石を拾いました。一見、粘板岩のような普通の石ですが、中央付近に暗赤色半透明の角柱が貫通していました(写真4)。
最近、菱マンガン鉱という石のことを知りインターネットで調べたところ、インカローズともいう鉱物で宝飾に使われていることがわかりました(写真2)。原石の写真を見ると、以前白旗池で拾った石に貫通していた赤い石によく似ているようで、興味を持ちさらに詳しく調べました。名の通り、製錬してマンガンを取り出す鉱石で、マンガン電池や、鋼鉄に添加物として加え靭性を増すことにも使われている用途の多い鉱物とのことでした。
近年、レアメタルやレアアースが話題になっており、マンガンも国内にはない金属だと思っていました。インカローズは文字通り「インカのバラ」という意味で南米ペルーが主産地のようです。しかし、日本でもマンガンは北海道や東北地方で採掘され、工業用だけでなく、大きいものは磨いて観賞用にしたり、モース硬度4と柔らかく加工しやすいので、小さく割って宝飾品として利用していましたが、採算性が悪く廃坑になったようです。大阪や京都にも鉱山があったのですが同様な理由で多くは廃坑になっています。
白旗池で拾った赤い石がマンガン鉱なのか定かではありませんが、否定もできません。国見山、交野山は全山風化した火山性の花崗岩でできています。白旗池の水を抜いた写真(写真3)を見ると、流れ込んだような花崗岩らしい岩ときれいな地層が見えます。少し山を下ると交野断層もあり、地質的に鉱物が豊富でダイナッミックな地殻変動の多い場所です(写真5)。近年日本海や太平洋近海で発見されたマンガン団塊やマンガン廃坑など、火山国日本は潜在的にレアメタルの宝庫ではないでしょうか。
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以上
2021/01/29 HP作成:石田
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