日本の城パ－ト①「現存天守１２城」で紹介した“備中松山城”小規模城郭ながらも
山城の地形を活かした備えを配し「難攻不落の城」と称されます。
私は２０１７年５月新緑眩い“備中松山城”に足を踏み入れました。
今一度“備中松山城”の歴史・特徴・トピックス（話題）なりを解説します。
　　　　　　　　　　　　　【歴　史】
備中松山城の歴史を紐解くと鎌倉時代にさかのぼり当時、有漢郷（現高梁市有漢町）
の地頭（所領を管理・支配する領主）秋庭重信が臥牛山（がぎゅうざん）に砦を
築いたのが始まりとされる。
臥牛山は“おしろやま”の愛称で親しまれ、大松山・天神の丸・小松山・前山の４つの
峰の総称、秋庭重信の砦は大松山に築かれた！戦国時代へ移るとこの地が山陰と山陽
を結び、東西の主要街道が交差する要衝の地であったことから“争い”が絶えずおのず
と臥牛山全域に堅ろうな城郭が築かれるようになった。
備中松山城の大改修は天和元年～天和四年（1681年～1684年）城主水谷勝宗の
手により３年の歳月をかけ完成、近世城郭へと生まれ変わった。
この時代城主交代が目まぐるしく繰り返され水谷氏のあと安藤氏、石川氏、板倉氏が
城主となった。明治時代「廃城令」が発令され、一部の城郭建造物が取り壊された。
1950年（昭和25年）天守・二重櫓・土塀が「重要文化財」に指定された。
　　　　　　　　　　　　　【特　徴】
❶備中松山城は「現存天守１２城」で最も高い（標高４３０ｍ）場所に築かれた。
❷日本の城で唯一現存天守を配した山城である。
❸日本百名城の一つである。
❹近世城郭としては珍しい連郭式（本丸と二の丸を並列に配した縄張り）山城で
岐阜県岩村城、奈良県高取城と並び日本三大山城と称される。
❺近世の城は政治的機能を備えており、敷地を広く取れない山城は敬遠された。
築城には各地の藩の勢力拡大を恐れた幕府のお墨付きが絶対条件！にも拘わらず
近世城郭の山城が築かれたことは極めて珍しい。
備中松山城では、山麓に尾根小屋と呼ばれる藩主の館を設け政務を執っていた
記録が残っていることから幕府がお墨付きを与えた背景が読み取れる。
❻備中松山城のそそり立つ自然の巨岩を巧みに活用した城塁の壮観さに圧倒される。
参考：岐阜県苗木城も自然岩と石垣を組合わせた城塁を形成している。
❼天守は二層二階構造、高さは約１１ｍ「現存天守１２城」の中では最小天守
❽重要文化財指定の土塀は漆喰仕上げで備中松山城の最も代表的特徴を表している。
　　　　　　　　　　　　　【話　題】
❶備中松山城はＮＨＫ大河ドラマ「真田丸」のオ－プニングに使用された。
真田氏に縁のない備中松山城だが、険しい岩山上に残る城郭が山深い真田氏居城の
イメ－ジに近かったことからＮＨＫのディレクタ－の目にとまりロケ地に選ばれた。
番組では映像がそのまま使用された城郭がある一方で、映像効果を高めるために
ⅭＧ加工を施し使用された城郭もあった！大手御門跡・大手御門跡北側石垣と土塀・
本丸下の土塀・大手御門跡北側巨岩・天守の屋根５ヶ所の城郭が使用された。
❷備中松山城では、９月下旬～４月上旬にかけ雲海が発生！雲海上に天守が浮かんで
見える幻想的な光景から「天空の城」と呼ばれている。
雲海が発生する時間帯は明け方から午前８時頃まで！特に１０月下旬～１２月上旬の
早朝が雲海発生の確率が高い期間とされる。
❸元禄７年（１６９４年）水谷氏の領地召し上げに際して、赤穂藩浅野家家老
「忠臣蔵」で名を馳せた大石内蔵助が交渉役で訪れた城でもある。
                                              健やか楽歩会　吉　村　竹　信
　　　　　　　　　　　　【城郭写真】

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